映画レビュー④愛しのゴースト

2020年4月11日


やはりタイ映画のレビューを書く以上は2013年のタイ映画「愛しのゴースト」(原題:พี่มาก..พระโขนง)のレビューは避けては通れないでしょう。2013年の公開時に「アナと雪の女王」を抑え、堂々の興行収入歴代1位になった映画です。

これも日本語字幕で見ることができますのでネタバレは避けます。原作は「メーナーク」というタイ人なら誰もが知っているタイの怪談です。タイ版の牡丹灯籠ともいえる話で、旦那が戦争に行ってる間に奥さんは難産が原因で亡くなってしまいます、タイでは難産で亡くなった女性は悪霊のピープラーイになると伝えられており、この奥さんも悪霊として蘇ります。そして次々に人を呪い殺していき、最後は高僧に説き伏せられて成仏するのですが、この「愛しのゴースト」のストーリーは原作を下敷きにしているだけで、まったく違う展開を見せます。そもそもですが、この映画はホラー映画ではなく、人間と幽霊のラブストーリーでもありません。ベタベタなコメディ映画です。そして最後はまさに2転3転する展開で、誰もが予想できない衝撃のエンディングとなります。

ぜひこの衝撃は見て、実際に感じて欲しいと思いますが、このレビューを見てこの映画を見たとしても、苦情は一切受け付けません。繰り返しますが、これは”コメディ映画”です。

愛する妻ナークの出産を控える中、徴兵され戦争に参加する主人公のマーク。大けがを負いますが、家族の元に必ず帰ると誓い、仲間とともに敗戦濃厚な戦争の中で死に物狂いで生き延びようとします。

一方でマークの帰りを待つ妻ナーク。毎日、家の前に立ち夫の帰りを待ちます。

やがて戦争は終わり、マークは戦争中の仲間とともに愛する妻の元へ戻ります。

2人の子供も無事に生まれていました。

しかし、仲間たちと訪れた街でマーク達はナークについての噂を聞きます。「彼女は出産の時に子供とともに死んだ。悪霊となってさまよっている」。

(マークと仲間たちの髪型がかなりファンキーなのはコメディ映画なのでスルーしてください)

仲間たちはマークの家でナークの手料理を振る舞われます。しかしナークの手料理は葉っぱと芋虫。マークはそれをうれしそうに食べていますが、仲間たちは食べることができません。

夜中にマークの家を訪れた仲間の1人は、マークの家が廃墟であることに気が付きます。

そして結婚指輪をはめた謎の死体を発見します。仲間たちはナークが幽霊ではないかと疑い始めます。

子供を知人に預け、遊園地でのデートを楽しむマークとナーク。

遊園地のシーンではタイ随一の女性歌手Palmyが歌う挿入歌「この瞬間よ永遠に」(原題:อยากหยุดเวลา)が流れます。MISHAの「Everything」のような壮大なバラードです。

遊園地ではナークの正体を突き止めようとする仲間たちが2人をこっそり追跡しています。しかし、ここからストーリーは急展開を見せます。戦争中に大けがを負ったマークが今も傷がいえておらず苦しんでいるのを目の当たりにした仲間たちにもう一つの疑惑が生まれます。

「なぜあの傷でマークは生きているんだ。もしかすると、あの死体はナークではなく、マークかもしれない。つまり幽霊はマーク。。。」

ここから本当の幽霊探しが始まるのですが、まあ、普通に映画を見ていれば誰が幽霊かは疑問を差しはさむ余地はありません。ドタバタギャグが続き、物語はクライマックスへ。ラストはもう衝撃としか言いようがありません。繰り返しますが、タイではアナ雪を越える大ヒット。必ず予想を越えてきます。