映画レビュー⑦Inhuman Kiss-後編

2020年4月11日


前編はこちら

サイを元に戻す方法を懸命に探すノイ。文献を調べるうちに”ガスー草”というガスー化を防ぐ薬草の存在を突き止めます。そして何かに導かれるように廃屋の裏手に向かう2人。

そこには一面に発光する草が。。。なぜ発光するのか、誰もこの存在に気が付かないのか、なぜサイはこの草の生えてる場所がわかったのか、その辺は全部スルーで。

ガスー草を食べ、ガスー化が抑えられることを感じたサイ。その後は2人で長い、長いベロチューです。お前ら処女と童貞だろ!というつっこみは野暮というもの。舌レロレロで入れまくってます。

そこに現れたのはタッド達妖怪ハンターとジェッド。ノイとサイのイチャイチャを見てジェッドは激昂します。

サイが逃げ込んだ先は幼い日かくれんぼをした廃屋。あの日の記憶がよみがえります。

幼いサイはピーガスーの口づけを受けていました。この呪いの口づけがサイがガスーになった原因だったのです。そしてサイは覚醒します。

追ってきた妖怪ハンター達を次々に返り討ち。タッドとジェッドはかろうじて逃げ出すことに成功します。

ハンターを返り討ちにしたついでに彼らのキャンプを襲撃。皆殺しにします。

その夜。タッドとジェッドに率いられた村人がサイの家を取り囲みます。ガスー草を食べ、ガスー化を抑えることに成功したサイは何喰わぬ顔でしらばっくれます。タッドはジェッドに「おい、昨晩見たことを話せ。」と促します。

ジェッドを遮りサイが話を始めます。「私はガスーではない。昨晩、タッドたちは私を襲おうとした。ジェッドがそれを止めてくれた。だから逃げ出すことができた。ガスーの襲撃とは関係ない。」みんなの視線がジェッドに集中します。ジェッドは「サイの言う通りだ」と答え、タッドを裏切ります。そして逃げ出すタッド。

次の日の晩、ジェッドは自室で復讐に狂ったタッドの襲撃を受けます。タッドの口からは牙が生え、タッドもまた人間でないことが判明します。

タッドの襲撃後、呪いのようなもので全身が変容していくジェッド。訪れたサイに懇願します「サイ、どこにもいかないでくれ、傍にいてくれ。」。サイは複雑な表情でうなずきます。

一方、サイを治す方法も見つからず、ガスー草も尽きてしまい打つ手なし状態になってしまったノイ。サイと一緒にバンコクに逃げることにします。別れの挨拶にお世話になった僧を訪ねると、後だしの設定が山ほど出てきます。

「ピーガスーとは受け継がれる呪い。太古の昔、ピーガスーはピーガターイという男の妖怪の元を逃げ出し、人間と恋に落ちた。怒ったガタイはガスーに呪いをかけ、その心臓を狙うようになった。それが延々と永劫繰り返されている。」

ここで、ようやくタッドがピーガタイだと判明します。

サイはジェッドをさっさと見捨ててノイと逃げることにします。しかし逃げ出す当日、サイの異変を感じた父親に村の野外映画祭に無理やり連れてこられます。ガスー草はもうありません。

村人全員の前でガスー化するサイ

同時刻、サイがノイと逃げ出すことに(なぜか)気が付いたジェッドは怒りでピーガタイと化します。

ここから先はピーガタイと化したジェッド、タッド、サイの三つ巴の妖怪バトルになります。途中でやはりサイを愛していることに気が付いたジェッドはタッドを裏切ります。

ジェッドが倒され、サイも絶対絶命のピンチ。勝利するのはタッドと思われた瞬間。突然の銃声。

銃を撃ったのはノイを助けた僧侶でした。ここから僧侶の回想が始まります。廃屋でサイに口づけをしたピーガスーは実はこの僧侶の恋人でした。彼もまたガスーになった女を愛し、そしてすべての手段を失い、恋人を廃屋に封印して僧になったのです。言い換えるとこいつの詰めの甘さが物語の諸悪の根源です。

「東へ逃げろ!川に出るので船がある。そのままバンコクまで行け」

ノイに指示する僧侶。でもサイの体は怒りくるった村人にすでに原型とどめてないくらいぐっちょんぐっちょんにされてます。まあ、重要な臓器は首の方にくっついてるからいいのか。。。

川まで逃げ、サイの首と合流したノイ。しかし自分の体を見たサイはもうどうにもならないことを悟ります(どうにもならないんかい。。。)。そして最後のキスを交わし、ノイを逃がします。

サイを連れていけないことを泣きながら悔やむノイ。そして見上げた瞬間。

ぶべらっ!!!!追いかけてきた村人が放った銃弾が見事にサイにヘッドショット!結局すべてが無駄でしたという悲しいラスト。

最後に仲の良かった頃の3人が描かれます。「みんなバンコクに遊びに来なよ。僕が案内するから!」ノイの言葉に3人は指切りをして約束します。ですが、その約束は果たされることなく悲劇に終わります。このシーンでは涙が、涙が、出るわけないだろ!最後の妖怪大バトル見せられた後、ほぼモブキャラの銃弾2発でラスボスと主役が倒されるってどういうことや!

展開が全く読めないまさに良くも悪くもタイ映画でした。

なお、タッドとジェッドが変身するピーガハン( ผีกระหัง)と言われる妖怪ですが、実際のイメージはこれです。妖怪に扮したおっさんのコスプレではなく、実際にこの姿そのままの妖怪です。コメ突き棒とコメを篩うザルで空を飛び、家畜や人間を襲う妖怪とされてます。おれがそのまま出てきたらギャグだったのに残念ながら、コウモリっぽいデザインになってました。