国の予算の仕組み
予算とは何か
さて、あなたの会社で何か新しい製品を作ることになったとします。みんながこれはきっと素晴らしい製品になると確信しています。ある社員が声を上げました。
「素晴らしい、明日からすぐに開発に取りかかります!」
そこで会社の社長は答えます。
「で、お前の人件費はいったいどこからでるんだい?会社の机使うなら、光熱費は?机のスペースも家賃に入ってるしな。その予算はどこに確保してあるんだ?」
そうなのです。何かをしようとするとお金がかかります。たとえ1時間だけであっても、作業をすればその人への賃金の支払いが発生します。たとえコピー1枚だけであってもコピー機の使用料はかかります。要するにお金がなければ何もできないのです。予算を決めることとは、すなわち、何をするかを決めることなのです。これは会社も国も同じです。
では国の予算はどうやって決まるのでしょうか。それを今回簡単に説明していきたいと思います。
予算の種類
予算には本予算(当初予算)、補正予算、暫定予算の3種類があります。
・本予算(当初予算)…一会計年度の年間予算として当初に成立した予算。
・補正予算..本予算成立後に生じた事由に基づき追加、変更された予算
・暫定予算…会期内に本予算が成立しなかった場合、成立までの空白期間をつなぐための予算。
ここでは主に本予算の成立までのプロセスについて説明していきます。
予算成立までのスケジュール

本予算は執行される年の前年に作成が行われます。つまり会計年度の始まりの4月から何かをしようと思えば、それまでに予算を成立させる必要があります。
基本方針の作成(内閣)
来年の予算の大まかな基本方針を取り決めるのは内閣です。来年度予算の基本方針が閣議決定され、経済諮問会議により予算の方針やポイントが取りまとめられます。最終的に各省庁に予算の方針や上限が概算要求基準として示されます。
準備(各省庁)
来年度予算に向け、政策や事業の見直しを行い見積もりを作成します。
概算要求(各省庁)
概算要求とは来年度予算に向けての見積もりです。内閣なら提示された基準に基づき、各省庁は来年度予算の概算要求を作成し財務省に提出します。
予算編成(財務省)
財務省は各省庁から提出された概算要求書に基づき、関係省庁とヒアリングを重ねながら予算原案を作成します。
閣議決定(内閣)
財務省から提出された原案に基づき政府内で最終調整を行い、最終的に財務大臣が内閣に提出した案が閣議決定され国会へ提出されます。
国会審議(国会)
衆議院、参議院の順に国会での審議がなされます。各院で予算委員会、本会議での審議、可決を経て予算が成立します。ここでの詳しいプロセスは次の記事で説明します。
予算の執行
4月から本予算が執行されます。当初予算が成立していない場合は最低限必要なだけの暫定予算によって空白期間を埋めます。
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