読書1.”羊と鋼の森”

2020年4月11日


気も山も季節も、そのままに留めておくことはできないし、自分がそこに加わることもできない。だけど、あれを美しいと呼ぶことを知った。

羊と鋼の森

高校生の時に、高校の体育館のピアノの調律に偶然立ち会うことになった主人公の外村。その時、ピアノの調律に心を奪われ、調律師への道への進む。専門学校を出て地元の楽器店への就職した外村は、高校の時に調律師への道を開いてくれたコンサートチューナーの板鳥、人当たりの良い先輩柳といった調律師の仲間や、双子の女子高生、和音と由仁との交流を通して、ピアノの美しさに触れる喜びや失敗の悔しさを味わいながら調律師として成長していく。

作者の宮下奈都さんの文章は思わず唸ってしまう。印象的な表現やセリフが非常にうまく使われていて、この本の語録を作りたくなるくらい。中でも印象的だったのは外村の顧客の女子高生、和音がピアニストになろうと決意した時の言葉。

”ピアノで食べていこうなんて思っていない。ピアノを食べて生きていくんだよ”

ピアノに人生をささげる覚悟をこんな素敵な言葉で表現できるJKがいたら惚れてしまう。

間違いなく読んで損のない小説。文章の流麗さ、表現の多彩さはこの小説自体がまるで美しい音楽を奏でるかのよう。音楽を楽しむようにこの小説を楽しんで欲しい。

読書

Posted by くらっきー